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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『なんくるの普通の日々』Vol.003
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「ファーストネーションズ・アーティスト」
ある日、知り合いの彫刻家の方から電話があった。「いまキースがいるから、来てみれば」。私が星野道夫さんの写真や文章が好きだということを知っていて、カナダの友人が訪ねてきたのを機会に誘ってくれたのだ。
Keith Wolfe Smarchさんは、アラスカと北極海に接する、カナダのユーコン準州に暮らすファーストネーションズと呼ばれる先住民族の彫刻家。1961年にホワイトホースで、eagle clan(鷲の家系)に生まれ、(かつて神話の世界に生きていた先住民の人々は、祖先は動物の家系だと信じていた)1980年代からは独学で彫刻を始めた。その後、デンプシー・ボブという著名な彫刻家のもとで学んだ彼は、縁があって富山の彫刻家と知り合い、10数年前には富山に3ヶ月滞在したこともある。今回は東京や福岡でのイベントのために来日し、作品づくりを兼ねて友人宅に滞在中だった。
キースさんの彫刻は、民族に伝わる物語や動物などがテーマ。訪ねた日にはカエルの彫刻に取り組んでいた。トーテンポールを想像してもらえると、その雰囲気が分かると思う。独特の色彩と、大胆なデフォルメ。時空を超えた神話の世界を丁寧に作り上げていく。彼の作品の一つ「ワタリガラスの変身」は、州政府からチャールズ皇太子に贈呈されたという。
彫刻以外にも、キースさんは冬の狩りの時の写真を見せてくれた。真っ白な上下の防寒着は、雪に隠れて動物を追うための保護色。日本では想像できない寒さの中でも、狩りを楽しむ人がいる。世界の果てまで旅したような心地よさを感じた。そして、同じモンゴロイドの血が流れるキースさんの風貌には、話していてもどこか安心感があった。星野さんの本を見せると、偶然その中に彼の友達の写真を見つけた。遥か遠くの物語と自分がつながった、不思議な瞬間だった。
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│なんくる(コピーライター)
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