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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『なんくるの普通の日々』Vol.004
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「古いのは、自分かもしれない。」
名画と呼ばれる作品はたくさんあるけど、どちらかというと興味は外国の作品に向いがちだと思う。最近映画で話題となった、ダ・ヴィンチなどもそうだ。
それが最近、ある本と出逢って、日本の絵のすごさをほとんど初めて知った。絵といっても、絵画というより、デザインやポスター、もしかして漫画にもすごく近い日本のアート「浮世絵」だ。赤瀬川原平さんがユニークな解説で歌川広重の絵を紹介している『広重ベスト百景』(講談社)という本だ。
赤瀬川さんといえば、画家、写真家、路上観察家でもあり、街なかでみつけた変な看板や建物の解説本もとても面白かった。そんな彼が紹介しているのだから、独特の視点で絵をみているのは言うまでもない。彼が選んだ百点の浮世絵は、こんなの今のポスターでもないよねと思わせる大胆さと、ワクワクするような斬新さに満ちている。
例えば、今は羽田空港になっている「はねたのわたし弁天の社」近くでは、船頭が小舟を漕いでいる。でも、広重は船全体を描くのではなく、船頭の手足と船の一部だけを描き、実に大胆にレイアウトしている。また、夜の闇が今よりもはるかに深かった江戸の夜の感触を、目に見えない何かも含めて描いている。巨大な滝のふもとで、涼む人。どしゃぶりの雨をシンプルな直線で描く思いきり。風の匂い、夏の水辺のひんやりした感触。のんびりした江戸の時間と、庶民のこころの豊かさ。そんなすべてを広重は一枚一枚に込めた。今の時代にはないゆったりした空気感が、うらやましい。
浮世絵は、古くない。今つくられているポスター以上の自由さとアイデアの新しさが、あちこちにある。今の時代に生きてるからといって、人間の考えは新しいとは限らないのだと、あらためて実感した。
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│なんくる(コピーライター)
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