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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『なんくるの普通の日々』Vol.010
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「ベルリンの笑い。」
ミヒャエル・ゾーヴァを知っていますか?名前だけだとピンとこないかもしれない。
映画『アメリ』の中で、アメリのベッドの上に飾られていた「病気の犬」や真珠のネックレスをした「ガチョウ」の絵、アメリの子ども時代のシーンで聴診器をあてられて
いた「病気のワニ」を描いた人と言った方がいいかもしれない。同じくベッドサイドの豚のランプも彼の作品だ。
ミヒャエル・ゾーヴァは、1945年ベルリン生まれ。ベルリン芸術大学で学んだ後は、広告のイラストレーションや本の挿絵画家として活躍。『アメリ』の美術小物の他にも、『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』の美術や、オペラ『魔笛』の舞台美術や衣装を担当している。
彼の作品は、妙におかしくて、不思議なものばかり。例えば、穏やかな自然の風景の中で、一匹のブタが池に飛び込む。一本の木が、荒れた大海原を流されていく。その枝にはフクロウが一羽とまっている。荒波と静かにたたずむフクロウのコントラストがすごく変だ。ゴリラが漕ぐボートに女の子が乗っていたり、古い時代の食卓のテーブルの下で、毛糸玉にじゃれて遊ぶ2匹の子ブタがいたり(ネコではなく)。
すごく不思議な、どこか暗さを含んだユーモア。東ヨーロッパ独特の陰影や色使いが、面白さを際立たせている。どの作品もすごく丁寧に描かれていて、細部まで手を抜いていない。実際、何度も同じ絵を描き直し、上から塗り重ねているらしい。でも、選ばれたテーマは、彼の自由な発想のままだ。
対立するものが、ドラマを生み、人の心を動かす。かつて壁で隔てられていた、東西のベルリン。いまは、どんな街なんだろう。風刺画家としても評価されているゾーヴァ。「背後に狂気をかくしているような笑いが大事なテーマ」と言う。ユーモアの語源はラテン語の「湿ったもの」。人の心の奥の湿り気が、彼独特の笑いを通して、見えてくる。
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│著者:なんくる(コピーライター)
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