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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『 恋レキ。〜彼女たちの恋愛履歴〜 』story.011
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「You're not my honey. きみは僕の恋人じゃない」
ユウコさん29歳。「人生史上、最高にイケメンな彼氏」とは、24歳の時のNY留学中に知り合った。
「日本から来ていた妻夫木似の彼は、日本語を一言も話さない人で、他の日本人とも距離を置いていました。我が道を行く感じで、でもどこか孤独で。何となく気にはなってました」
学業の傍ら、インターンの仕事を始めたユウコさん。そんなアクティブなユウコさんに彼は声をかけてきた。
「デートしたんです。そしたら意外に素直で、『ずっと友達が欲しかった』って。この人一見強そうだけど、本当はすごく淋しいのかもしれない。すごく温かい気持ちになって」
その日から二人は自然と距離を縮め、しばらくして一緒に住むように。
「彼は勉強も料理もスポーツもできるモテキャラ。周りに流されず、しっかりとした自分を持っているところが好きでした。あ、日本語は喋ってくれなかったけど」
そんなパーフェクトな彼にハマってしまったユウコさん。気づけば、全てにおいて彼を優先するようになっていた。
「もう勉強より恋愛しにNYに来たって感じ。そんなんじゃ上手くいくはずないのに。『You're not my honey. 僕はここで彼女を作るつもりはない』と言われて、じゃあ、何で近づいたのよって。だんだん彼は素っ気なくな
って、私は気持ちを取り戻そうと必死で。ケンカも絶えなくて、一緒に住んでたから距離も取れずに苦しかった」
クリスマス、フロリダに車で旅行した時も、ユウコさんは空回りの連続。
「迷子になるわ、カメラを水浸しにして壊すわ、散々でした。坊主頭の彼を『戦時中の学徒出陣みたい』と私が失言して大ゲンカ。今思えば、そんな事で怒るなんて小さいですよね。二人無言のまま、カップルだらけのユニバーサルスタジオを回ってました」
「何で子供なの。俺の前でそんな失敗ばかりするの」と彼に聞かれたことがある。ユウコさんは言葉を飲み込む。「あんたが好きだからに決まってんじゃん…」
「あれだけ一緒にいたのに、結局、一回も好きとか言えなかったんですよね。なんか悔しくて」
「今思えば、相性が悪かったんだと思う。お互い自分勝手で子供だったし。でも好きでした。外国で一緒に暮らして、映画みたいな恋に酔っちゃってた」
「ひとつ、嬉しかった事があるんです」とユウコさん。
「NYに帰るバスの中で、黒人の小さな男の子が彼に話しかけてきたんです。
“Where is your honey?”(あなたの恋人はどこに座ってるの?)と。
“My honey? She's here.Can't you see?”(僕の恋人?ここにいるよ)って彼は思わず答えた。ささいな事だけど嬉しかった」
U2の“with or without you”という曲を思い出した。
I can't live with or without you.
あなたがいても、いなくても生きられない。
ユウコさんの恋は、そんな苦しさを連れてくる。
「以来、追う恋は二度としてません」とユウコさん。「彼氏は私のダメなとこも受け入れてくれる優しい人がいいです、絶対」
最高に好みな人と自分に合う人は違う、とは真実なのかもしれない。
でも、自分の足で立てなくなるくらい誰かと恋愛したことは、幸せ以外の何物でもない。
「この先、あんなに苦しいほど誰かを好きになることは多分ない。そう思うと大切な時間でしたね」
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│著者:Sawako Matsuoka(コピーライター)
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