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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『なんくるの普通の日々』Vol.012
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「ペネロペとのあいだ。」
ひさびさに、一目惚れしてしまった。相手はフランス生まれの小さなコアラの女の子。名前はペネロペ。イタリアのあの女優さんと同じ名前だけれど、こっちのペネロペは絵本の中で幼稚園に通う、うっかりやさんの3歳児。いろんな失敗をしながらも、かわいく、明るく、のびのびと毎日を楽しんでいる。きもちのいい空色の小さな体に、ちょっと間隔があいた黒い瞳。そして赤くて少し大きめの鼻。いろんな出来事を好奇心いっぱいに受けとめようと耳はいつもピンと立っている。
ペネロペの絵本を見て何より好きになったのは、フランスらしい明るい色彩と手描きの筆の跡。そこに描かれているのはやわらかくて、ふわふわとしたカラダ。きれいなブルーのペネロペの背景には、あざやかなピンクやオレンジやグリーン。ひと筆ごとの、人の手のあとが残るペネロペのカラダは、まわりに溶け込むような、自然な温もりを感じる。
ペネロペを生んだのは、パリ生まれのアン・グットマンと、ドイツ生まれのゲオルグ・ハレンスレーベン夫妻。アンはフランスの大手出版社にデザイナーとして勤めているときにゲオルグと出会い、のちに作家として活動を開始。夫のゲオルグは絵を担当している。2人の「リサとガスパール」も人気のある作品で、世界中の子どもたちに読まれている。
人が何かを好きになるときは、完璧なものよりも、どこか不完全な隙間のようなものに惹かれることが多いと思う。そのものと自分の間にある、微妙な空気とか、ゆらぎとか。デジタルでどんなこともできてしまう今だけど、やっぱり手描きの良さにかなうものはない気がする。単に素朴がいいというわけではなく、「ペネロペ」のような上質で人の手のあとが残る作品がもっとあるといいなと思う。アートだけじゃなくて、ふだん目にする商品や、広告や、街のなかに。そのタッチの隙間にきっと誰もがほっとできるはず。
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│著者:なんくる(コピーライター)
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