なんくるの普通の日々 Vol.017「ルーシー・リー」
2007.08.31

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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『なんくるの普通の日々』Vol.017
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「ルーシー・リー」
 
知らなかった。こんな素敵な作品をつくる女性陶芸家がいたんだ。ある日本
の若手陶芸家について調べているうちに、そのルーツともいえるような、ルー
シー・リーの作品と初めて出会った。衝撃を受けた。陶芸の世界ではとても
有名な人らしい。作品のどれもが繊細で、かわいらしくて、気品があって。
写真で見る80代の彼女はその作品のように生成りの白いシャツとパンツを着
た、とてもきれいな人だ。
 
1902年にウィーンで生まれたルーシー・リーは、20歳から工芸美術学校で陶
芸を学び、ナチス・ドイツの侵攻とともに1938年に夫とロンドンへ亡命。そ
の後まもなく離婚するが、ロンドンに小さな工房を持ち、88歳で倒れるまで
陶芸家としてたくさんの作品を生み出した。1995年に亡くなったのだけど、
器はもちろん、当初生活のために作っていたボタンなど、どれも繊細でおしゃ
れで、素敵なものばかりだ。
 
花瓶や小鉢、コーヒーセットなどの器の数々。日本はもちろん、世界各地の
美術館にも収蔵されている芸術作品だ。でも、テーブルウェアとしてもモダ
ンで、いまのお家にもぴったりなナチュラルさがある。
 
日本や東洋の雰囲気もあるし、古代エジプトも連想させる。ロンドンで出会っ
た様々な国の文化や人との交流を自然に取り込み、あたらしく作品として生
み出していった彼女。三宅一生さんとも交流があったらしい。彼は白いジャ
ケットをデザインしてルーシーにプレゼントしたそう。
 
やわらかなフォルムと、彼女が生み出した独自の色と技法。釉薬を塗った上
から編み棒で無数の繊細な線を描く「掻き落とし」とか、つるっとした表面
や完璧なカタチに仕上げるのではなく、凸凹や少しのゆがみをつけてあるも
のとか。現代の日本の若手作家の多くも、彼女の作品が好きな人が多いんだ
と思う。
 
晩年のルーシーのことを「まるで花の精のように気高く透明な美しさ」と称
えた三宅さん。もう亡くなってしまった人なのだけど、ぜひ、彼女に一度会っ
てみたかった。
 
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│著者:なんくる(コピーライター)
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