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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『 恋レキ。〜彼女たちの恋愛履歴〜 』story.021
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「ねじれの想い」
恋愛マスター・ナナコさん、恋レキ4回目の登場である。
ナナコさんは独身時代、それは恋多き女性だった。今は最愛のご主人と愛
娘がいて、幸せに暮らしている。そんな幸せいっぱいのナナコさんの唯一
悩みのタネとは、元同僚の太郎さん。
30代半ばで富山に転勤してきた太郎さんは、彼女がいない歴数年。富山で
誰も知りあいのいない彼に、心優しいナナコさんは同僚としてご飯をつき
あったり、メールのやりとりをしたりしていた。この関係がナナコさんの
結婚後も続き、いいかげん面倒くさくなって来ているという。
「とにかく送ってくるメールが、しょうもなさ過ぎて。『今日出張先で何
食べた』とか『疲れた』『今日も仕事頑張った』とか日記風メールが頻繁
に届く。こっちは彼の一日なんか全く興味なくて、全部無視してるのに。
ダンナも『またメール来てるの?』とキレ気味だし」
それよりもめんどうくさいのが「お土産攻撃」だと言う。
「どこかに出張へ行ったら必ずお土産をくれるんだけど、その度に『取り
にこい』って呼び出される。こっちは仕事と子育てで忙しいのに、『会っ
て渡したいものがある』と。行ってみるとしょうもない、ちっさい箱のお
菓子をくれて。これのために呼び出したの?って。正直けっこうウザイ」
「しかも、夕方は忙しくて無理と断っても、何日か経てば『今日の夕方は
大丈夫?』とメールが来る。知り合いに不幸があってショック受けてる時
も、『もうすぐ転勤するから、どうしても北海道土産を渡したい』と、何
度もしつこくメール。『哀しくて今はそんな気分になれません』と返事し
ても、数日後には同じメール。本当に人の気持ちより自分の気持ちが優先
で、かなり頭にきたよ」
そこまでして渡したいお土産って一体…。ズバリ、彼はナナコさんに気が
あるのでしょう。
「はっきり告白されたことは一度もないよ。そういえばこの前、彼の転勤
が決まってランチした時に、『ナナコさんのおかげで富山でやってこられ
た。本当にありがとう』って何度も何度も言われた。でも告白されてない。
そして車に乗るところまでお見送りされた。こっちは早く家に帰らなきゃ
いけなくて焦ってて、空気読んでって思ったけど」
でもこのお土産攻撃、恋愛の常套アプローチという気もする。しかし、
ナナコさんはバッサリ斬る。
「いい大人のくせして、用事にかこつけてばかり会おうとされると、ただ
ただイラついてしまうね。こちらの意思を伝えることもできないし。恋愛
の意思表示は、ストレートな方が気持ちがいいよ!別に告白された訳でも
ないけどさ」
実は私も、太郎さんを知っている。3人で会ったのだけど、彼のナナコさん
への絡み方が、彼氏気取りでどこかねっとりとしていて、『ああ、彼はナ
ナコさんが好きなのね』と思った。当時ナナコさんは独身だったし、奪っ
ちゃえばよかったのに。臆病なのか、プライドが高いのか、彼は何をした
かったのだろう。
そしてつい先日、富山に出張に来た太郎さんから「渡したいものがある」
と再び呼び出しメールが。
『明日まで富山にいる。松嶋菜々子主演の『眉山』のDVD、すごく泣ける
から渡したい』と。
「眉山」。好き合ってるのに結ばれない、哀しくも美しい愛の物話。
そっか。太郎さんはきっと、この悲恋の物語と自分たちを重ねているんだ。
この情熱とマメさ。方向さえ間違っていなければ、彼は絶対幸せになれる
人だと思った。
結局、太郎さんはナナコさんにまっすぐ向いているようで、ちっとも見て
いない。ナナコさんは、当たり前だが彼や彼のお土産がなくても、十分に
幸せなのだ。哀しいけれど、この現実を見ようとしない限り、太郎さんと
ナナコさんの想いは永遠に交わることはない。
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│著者:Sawako Matsuoka(コピーライター)
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