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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『 恋レキ。〜彼女たちの恋愛履歴〜 』story.037
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「陽一郎くんの場合」
コピーライターの陽一郎くん(31歳)は、いわゆるモテ系男子。お洒落で仕事ができて女の子が寄ってくる。なのにこの3年間、彼女を作ろうとしない。
「作らないわけじゃなくて、出会ってないだけです。昔は奪いにいく程の気持ちがあったけれど、今はそこまで思える人がいなくて。恋って努力してするものじゃないし」
「仕事柄、日々何十人という人と会うから、独りでいる時間って、僕にとってけっこう大切で。もちろん寂しい時もあるけれど、そういう時は女友達に20分も電話すれば、寂しさは満たされる。で、さあ寝よって」
女の子の相談をよく受けるという彼は、女友達が多い。最近も、6人の女の子と日替りで遊んでいた。マメで気が利いて、寂しがりや。最初に聞いた時は「いつか恨まれるよ」と心配したものだ。
「女の子は大好きです。というより人が好き。いろんなタイプの人と話したいから『ご飯いこうよ』と誘う。普通に飲みに行ったり、ライブ観に行ったり。彼女たちに恋愛感情はないです。体の関係も一切ない。そういうのは面倒くさくてイヤなんです」
女の子の方が好きになったりしない?
「僕が『これ以上近づくな』という、立ち入り禁止オーラを出すので大丈夫です。一人暮らしの家にも入れたりするけど、さらにバリアを出すから、面倒なことには絶対ならない。僕も馬鹿じゃないので、まずいなと思ったらやんわりと遠ざけていくし」
近づきやすいのにガードが固い。ガツガツしていないから、つい気にさせる。女の子からすれば、陽一郎くんはかなり厄介。絶妙なバランスで平穏かつスリリングな日々を過ごしている彼だが、最近、6人のうちの1人が陽一郎くんを好きになってしまった。
「仕事の悩みで相談に乗っていたんです。弱ってたから優しく励まして。そしたら好きだと言われて。僕も久しぶりに彼女ができるかもしれないという事実に舞い上がり、そんなに好きじゃないのに自分を思い込ませようとした。でもやっぱり無理で。深く反省し、6人同時というのもやめました。いい加減な事してるから、彼女もできない。最近は独りでいます。寂しくなっても、危険だから家から出ないようにしてる。『危ねぇ今の俺』って(笑)」
「20代は色々やってました。一夜限りの人妻コンパとかね。すごいんですよ。最初から『何が目的のコンパか分かってるよね?』って女性陣に言われて。すごい簡単。セフレとか二股とかひと通り経験して、やっぱり自分には無理だと。女の子の好意を利用するのって人としてダメ。でも女の子は『好きだから』と関係を許したりするでしょ。で、傷ついて後悔して。そういうのが見ててすごくイヤ。30歳を超えると、気持ちに応えられないのに無責任な行動はできない」
恋レキの相談メールで多かったのが、「モテる男性を振り向かせるにはどうしたらいい?」ということ。
「何もしない事じゃないですか。駆け引きとかしないこと。自分が連絡したい時に連絡して、会いたい時に会う。モテる男って女の子の駆け引きなんて何度もやられてるから、またかよと興ざめするだけ。ガツガツ来られるのも慣れてるから、我慢しないで普通に誘えばいい。ただ、会った時は特にアピールしないで、自分が楽しそうにする。それでサクッと帰る。『あれ?』ってなると思う。気づいたらいつも傍にいたって思わせるのがいいんじゃないかな。長期戦になるけど」
モテ系男性に、女の子から手をつないだりするのもダメ、と陽一郎くん。
「つなぐ意味がない。階段があるとか道が歩きづらいとか、必要性がない事はしたくないんです。古典的だけど、彼の前で転んでみたらいいんじゃないですか(笑)。助けて貰える。そのまま手を離さなきゃいいんです。『何でそのままなの』って彼に言われても、『いいじゃん』って可愛くかわせば」
「モテる男が恋に落ちるのって、意外とシンプルだと思う」と陽一郎くん。
「純粋にその人を思うこと。例えば、自分がふと言った事を覚えてくれていたり。以前、僕が大事なプレゼンがあるのを覚えてて『今日のプレゼン、上手く行った?』とメールをくれた子がいて。そこには駆け引きも下心も一切なくて、相手を想う気持ちだけ。自分の要求ばっかりの女の子って多いから、そういうのってすごく嬉しい。僕はコロッといっちゃう。案外、単純なんですよ」
30代ガールズの特徴として、空気を読みすぎちゃうことがあるんですが。
「ディス・コミュニケーションってよくない。相手の気持ちとか大事なことは、ちゃんと聞いた方がいい。例えば、理由があって別れた後も友達関係が続いている場合。相手は自分をどう想っているのか、可能性はあるのか。聞かないよね、女の子は。聞けば、どうすればいいかというシナリオが書けるのに。僕なら聞く。答えは『今は気持ちに応えられないけど待ってて』かもしれないし、『可能性はゼロ』かもしれない。本当の気持ちは推測じゃ分からない。聞くと終わることもあるし、聞きたくない答えが返ってくるかもしれない。でもリスクは怖がっちゃダメだよね、前に進みたいなら」
油断していた。最後にうっかり、大事なことを言われてしまった。どんな時も、目の前の相手と自分に真摯。陽一郎くんがモテる理由が、わかる気がした。
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│著者:Sawako Matsuoka(コピーライター)
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