『なんくるのヴォイス・オブ・アート』Vol.001「教授と生け花」
2009.06.02

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│メルマCiCオリジナルエッセイ
│『なんくるのヴォイス・オブ・アート』Vol.001
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「教授と生け花」
 
先日、ついに富山で初の坂本龍一のライブに行ってきた!
 
静まり返った満員の会場で教授が奏でたのは、新アルバム『out of noise』からの数曲と、映画音楽やCM曲など、過去のさまざまな名曲から、その場で一曲ずつチョイスしながらのピアノバージョン。
 
途中、携帯で写真を取りまくってもいいという携帯CM用の曲もあって、一斉に響くシャッター音と、明るく光る画面が、キラキラと会場を埋め尽くしていたのがすごく印象的だった。でも、その後は全般にわたって、とても静かで、大人な雰囲気のライブに。
 
基本的にグランドピアノ2台だけの、教授の一人連弾。つまり、片方のピアノは自動演奏となっていて、教授自身が事前に打ち込んだメロディが演奏されていく方式。これで、音の深みが何倍にもなる。
 
そして、今回のピアノツアーで特にユニークなのは、終演後24時間以内にiTunesでライブ音源が配信されるという画期的な試み。MCを含めて、すべてのライブの音を聴く事ができるのだ。
 
今年出版された自伝『音楽は自由にする』でも語っている通り、教授の最近の曲は「生け花のような音楽」の趣きがある。いらない枝を切りながら、さまざまな素材を吟味して、丁寧に配置し、彼自身もそれを眺めている感じとか。「作り出したものというよりは、そこにある感じ」と語る教授。
 
音と音の間でゆったりと思考を巡らせて、心地いい着地点を見い出していく。そんな、余裕のある曲が作られたり、好まれたりするのは、すべてに行き詰まっている時代だからこそかもしれないし、57歳という彼の年齢もあると思う。
 
今回のアルバム 『out of noise』の中で一番好きなのは、『hibari』という曲。赤ちゃんに聞かせるオルゴールのように、繰り返し繰り返し、かわいらしいヒバリが鳴いているような繊細な音が流れていく。
 
同じメロディーがずっと続くのに、不思議と聞き飽きることがない。
研ぎすまされた音と、音の優しさを同時に味わえる、忘れられない一曲だと思う。
教授って、やっぱりすごい。
 
なんくる
 
今回からタイトルを一新し、これまで以上に様々なジャンルのアート情報をお伝えしていきます。これからもよろしくお願いします!
 
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│著者:なんくる(コピーライター)
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